Q 葬儀後に塩でお清めをする理由
葬儀に参列し、火葬場から葬儀場に戻った時や、葬儀場から自宅に戻った時に塩を使ってお清めをすることがありますが、なぜ塩を使ってお清めをするのか、その理由をご存知でしょうか?
家族葬が増え葬儀が小規模化している現在は、その影響から葬儀への参列機会も減っているため、お清めのやり方がわからないという方も少なくないと思います。
今回は葬儀後に塩を使ってお清めをする理由と、お清めのやり方についてご紹介します。
葬儀後に塩でお清めをする理由
葬儀後に塩を使ってお清めをする風習は、日本古来の宗教である「神道」で行われてきたものです。神道では死が穢れ(気枯れ)とされているため、穢れを祓うために塩を用いるというわけです。
神道における聖典とされている日本の神話には、死の穢れを祓うために海水で禊祓(みそぎはらい)を行ったと記されています。海水を用いて穢れを祓っていたことがいつしか形を変え、海水から作られる塩を用いてお清めを行うようになったという説があるようです。
仏式の葬儀でも塩でお清めをする理由
もともと神道で行われていたお清めが仏式の葬儀においても行われるようになったのはなぜでしょうか。
仏教が日本に伝わったのは西暦538年とされていますが、神道は仏教が伝わる以前から日本で信仰されていた、日本固有の宗教だといわれています。仏教が伝わる以前から日本人が信仰していた神道の風習が、仏教が日本に広まった後にも受け継がれているため、仏式の葬儀においても清めの塩がつかわれているのではないかと考えられています。
といっても、仏教には「死」を「穢れ」とする教えはないため、本来は仏式の葬儀において塩を使ってお清めをする必要はありません。特に浄土真宗では清めの塩を使うことは死者に対して失礼にあたると考えられているため、清めの塩は必要ないとする寺院が多いようです。
清めの塩は必ず使わなければならないの?
前述した通り、仏式葬儀における清めの塩は昔からの風習を踏襲しているものなので、必ずしも塩でお清めをしなければいけないというわけではありません。仏式だけでなく、キリスト教や無宗教の葬儀においても、本質的には必要とされていません。
といっても、昔から葬儀の後には塩を使って清めることが習慣になっているという方は、お清めをしないことに対して抵抗を感じることもあると思います。そのような場合は、お付き合いしている宗教者(寺院や教会)の考え方にもよりますので、気になる方は一度確認しておくと良いでしょう。
清めの塩の手順を解説
塩を使って身を清める場合どのような手順で行えば良いのでしょうか。
火葬場から葬儀場に戻った時にお清めを行うかどうかは、利用する葬儀場によって異なります。
塩や水、おしぼりを乗せたワゴンなどを入り口付近に用意している葬儀場もあります。
自宅に戻る際にお清めを行う場合、玄関に入る前に塩を使ってお清めをします。胸、背中、足の順に清め塩をかけて、服に付いた塩を払います。最後に地面に落ちている塩を踏んでから自宅に入りましょう。 自分の背中に塩をかけるのが難しければ、家族にかけてもらうと良いでしょう。
まとめ
葬儀後に塩を使ってお清めをする風習はもともと「神道」で行われてきたものです。神道では死を穢れ(気枯れ)としているため、穢れを祓うために塩を用いています。
仏教では死を穢れと考えていないため、本来は塩を使ってお清めをする必要はありませんが、仏教が伝来する以前から日本に根付いていた神道の風習が、仏教の葬儀にも影響を与えているようです。浄土真宗の多くの寺院では、葬儀後のお清めは必要ないと明言しています。